再生医療の無菌試験とマイコプラズマ試験を確実に実施する方法

再生医療等製品の開発や製造において、製品の安全性と品質を担保することは最も重要な責務です。特に、患者様の体内に直接投与される製品にとって、微生物汚染のリスクを排除する「無菌試験」と「マイコプラズマ否定試験」は、出荷判定の要となる極めて重要なプロセスといえるでしょう。

しかし、従来の医薬品とは異なり、有効期間が短い細胞加工製品などでは、公定法通りの試験期間を確保することが難しいケースも少なくありません。そのため、規制要件を満たしつつ、いかに迅速かつ正確に試験を実施するかが、現場担当者様の大きな課題となっているのではないでしょうか。

この記事では、再生医療等製品の品質管理を担当される方々に向けて、日本薬局方やGCTP省令に基づいた無菌試験・マイコプラズマ試験の具体的な実施法を解説します。試験法の選択基準からバリデーション、迅速法導入のポイントまで、実務に即した情報をお届けしますので、ぜひ貴社の品質保証体制の構築にお役立てください。

再生医療等製品における無菌試験・マイコプラズマ試験の実施基準と結論

再生医療等製品における無菌試験・マイコプラズマ試験の実施基準と結論

再生医療等製品における微生物学的試験は、患者様の安全を守るための最後の砦です。ここでは、試験を実施する上で基盤となる規制要件やガイドライン、そして実務における基本的な考え方について解説します。まずは全体像を把握し、適切な試験計画を立てるための土台を固めましょう。

日本薬局方(一般試験法)に準拠した実施が基本原則

再生医療等製品の品質管理において、無菌試験およびマイコプラズマ否定試験は、原則として「日本薬局方(JP)」の一般試験法に準拠して実施することが求められます。これは、製品の安全性や品質が科学的に妥当な方法で確認されていることを公的に証明するためです。

具体的には、第十八改正日本薬局方などの最新版を参照し、そこに記載されている試験条件、培地の種類、培養期間などを厳守する必要があります。ただし、再生医療等製品は製品ごとの特性が大きく異なるため、単に手順をなぞるだけでなく、その製品における「試験法の適合性」を確認することが大前提となります。基本を忠実に守りつつ、製品特性に合わせた最適化を図ることが、信頼性の高いデータを得るための第一歩です。

製品の有効期間に応じた迅速試験法(NAT等)の導入と妥当性確認

細胞加工製品の中には、製造後すぐに投与が必要なものや、凍結保存ができず有効期間が極めて短いものが存在します。このような場合、日本薬局方の公定法(無菌試験で14日間など)では出荷判定が間に合わないという課題が生じます。

そこで検討すべきなのが、核酸増幅法(NAT法)や自動培養装置を用いた「迅速試験法」の導入です。迅速法を採用する場合は、従来法(公定法)と比較して同等以上の検出能力があることを科学的に証明しなければなりません。これには十分なバリデーションデータの取得が必要ですが、患者様へ迅速に製品を届けるためには避けて通れない重要なステップといえるでしょう。

GCTP省令に基づいた品質管理体制と手順書の整備

試験の実施にあたっては、GCTP省令(再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)に基づいた体制構築が不可欠です。試験そのものの手技だけでなく、検体のサンプリングから結果の判定、記録の保管に至るまで、すべてのプロセスが適切に管理されていなければなりません。

具体的には、以下のような取り組みが求められます。

  • 標準操作手順書(SOP)の整備: 誰が実施しても同じ結果が得られるよう、手順を詳細に文書化する
  • 教育訓練: 試験担当者が十分な知識と技能を持っていることを定期的に確認する
  • 逸脱管理: 予期せぬ事象が発生した場合の報告・対応フローを確立する

ハードウェアだけでなく、これらを運用するソフトウェア(人・組織)の質を高めることが、製品の信頼性向上に直結します。

無菌試験法の具体的な実施手順と選択基準

無菌試験法の具体的な実施手順と選択基準

製品に微生物が混入していないことを証明する無菌試験は、最も基本的かつ重要な試験の一つです。ここでは、日本薬局方に規定されている具体的な手法と、それぞれの選択基準、実施時の注意点について詳しく見ていきましょう。

メンブランフィルター法による実施手順

メンブランフィルター法は、無菌試験において第一選択となる方法です。この手法は、検体を孔径0.45µm以下のフィルターでろ過し、微生物をフィルター上に捕捉した後、そのフィルターを培地に投入して培養します。

実施のメリットと手順:

  1. 検体の全量処理が可能: 大容量の検体でも微生物を濃縮して検出できるため、感度が高い
  2. 阻害物質の除去: 洗浄操作により、製品に含まれる抗菌性物質などを除去しやすい

操作は無菌環境下(アイソレーターやクリーンベンチ)で行い、二次汚染を厳重に防ぐ必要があります。フィルターを「液状チオグリコール酸培地」と「ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地」にそれぞれ分割して投入し、培養を開始します。

直接法による実施手順(フィルター法が適用できない場合)

製品の粘度が高すぎてろ過できない場合や、フィルターの素材と適合しない場合などは、「直接法」を選択します。これは、検体を直接培地に接種して培養する方法です。

実施時のポイント:

  • 検体と培地の比率: 検体の抗菌作用を希釈するため、通常は検体量の10倍以上の培地を用います。
  • 攪拌: 検体が培地全体に均一に分散するように注意します。

直接法は操作が簡便ですが、メンブランフィルター法に比べて検体の処理量が制限される場合があり、また製品由来の混濁と微生物の増殖による混濁の区別が難しいことがあるため、判定には熟練を要します。

培地の性能試験(無菌性試験・発育阻止活性の確認)

試験結果の信頼性を担保するためには、使用する培地が微生物の発育に適していることを事前に確認しなければなりません。これを「培地性能試験」と呼びます。

確認すべき2つの要素:

  1. 無菌性試験: 培地自体が汚染されていないことを確認するため、検体を接種せずに培養します。
  2. 発育阻止活性の確認: 対象とする微生物(黄色ブドウ球菌、緑膿菌、枯草菌など)を少量(100 CFU以下)接種し、確実に発育することを確認します。

特に再生医療等製品では、製品自体に抗生物質や保存剤が含まれていることが多いため、それらが微生物の検出を妨害しないことを証明することが極めて重要です。

培養温度と期間の設定(好気性菌・嫌気性菌・真菌)

無菌試験では、好気性菌、嫌気性菌、そして真菌(カビ・酵母)のすべてを検出できるよう、異なる条件で培養を行います。

標準的な培養条件:

  • 液状チオグリコール酸培地: 主に嫌気性菌と好気性菌を対象。30〜35℃で培養。
  • ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地: 主に真菌と好気性菌を対象。20〜25℃で培養。

培養期間:
原則として「14日間」の培養が必要です。これは、増殖の遅い微生物や、製造工程のストレスで傷ついた微生物(損傷菌)が回復して増殖するまでの時間を考慮しているためです。毎日観察を行い、培地の混濁などの変化を確認します。

判定基準と再試験の要件

14日間の培養終了後、培地に微生物の増殖を示す混濁や沈殿などが認められなければ「適合」と判定します。しかし、もし陽性(増殖あり)となった場合、安易に「試験失敗」として再試験を行うことはできません。

再試験が認められる条件:

  • 試験環境や手順に明確な不備(技術的過誤)があったことが証明された場合
  • 陰性コントロールでも菌の発育が認められた場合(試験自体の無効)

単に「結果が悪いからやり直す」ことは許されず、陽性となった原因を徹底的に調査し、製品の汚染が否定できない場合は、そのロットは不適合として処理する必要があります。

マイコプラズマ否定試験の具体的な実施手順と選択基準

マイコプラズマ否定試験の具体的な実施手順と選択基準

マイコプラズマは一般的な細菌よりも小さく、細胞壁を持たないため、細胞培養において深刻な汚染源となります。ここでは、マイコプラズマ汚染を確実に検出するための3つの試験法と、その実施手順について解説します。

培養法(A法)による実施手順と観察期間

培養法(A法)は、マイコプラズマ試験のゴールドスタンダードとされる方法です。検体をマイコプラズマ用の寒天培地と液体培地に接種し、長期間培養してコロニー形成や変色を確認します。

  • 手順: 検体を寒天培地(4枚以上)と液体培地に接種します。
  • 培養条件: 35〜37℃、微好気条件下などで培養します。
  • 観察期間: 液体培地からの植え継ぎを含め、最終判定までには通常「28日間」程度を要します。

非常に感度が高く信頼性は抜群ですが、結果が出るまでに長い時間を要するため、出荷までの時間が限られる再生医療等製品では、他の方法と組み合わせるか、代替法を検討することが一般的です。

指標細胞培養法(B法)によるDNA染色と蛍光観察

指標細胞培養法(B法)は、マイコプラズマが細胞に吸着する性質を利用した方法です。Vero細胞などの指標細胞を用い、検体を接種して培養した後、DNA染色を行って顕微鏡で観察します。

実施手順:

  1. 指標細胞をカバーガラス上で培養する
  2. 検体を接種し、数日間培養する
  3. 蛍光色素(Hoechst 33258など)でDNAを染色する
  4. 蛍光顕微鏡で観察する

マイコプラズマが存在する場合、細胞質の周囲や細胞表面に小さな蛍光の点が観察されます。A法では増殖しにくい種類のマイコプラズマも検出できる利点があります。A法とB法を併用することで、より確実な否定試験となります。

核酸増幅法(NAT法)による迅速試験の実施手順

近年、最も採用が進んでいるのが核酸増幅法(NAT法)です。PCR法やリアルタイムPCR法を用いて、マイコプラズマ特有のDNA配列を増幅・検出します。

NAT法のメリット:

  • 迅速性: 数時間〜数日で結果が得られるため、出荷判定を早めることができる
  • 高感度: 微量な汚染でも検出が可能

実施にあたっては、使用するプライマーが幅広い種類のマイコプラズマ(特に規制で求められる種)を網羅的に検出できることを確認する必要があります。また、日本薬局方参考情報における「マイコプラズマ否定試験への核酸増幅法導入の手引き」などを参考に、適切なバリデーションを行うことが必須です。

試験法の感度と特異性の確認

どの試験法を採用するにしても、その方法が目的のマイコプラズマを確実に検出できるか(感度)、そしてマイコプラズマ以外のものを誤って検出しないか(特異性)を確認しなければなりません。

特にNAT法のような代替法を導入する場合、公定法(A法・B法)と比較して「検出限界(LOD)」が同等か、それ以上であることを示す必要があります。一般的には、10 CFU/mLあるいは100 copies/mL程度の感度が求められることが多いですが、具体的な基準は製品のリスク評価に基づいて設定します。

陽性コントロールと陰性コントロールの設定

試験の妥当性を保証するために、毎回の試験で必ずコントロール(対照)を設定します。

  • 陽性コントロール: 微量のマイコプラズマ標準株、またはそのDNAを含んだ検体。試験系が正しく機能し、検出能力があることを証明します。
  • 陰性コントロール: 滅菌水や培地のみなど、マイコプラズマを含まない検体。試薬や操作環境が汚染されていないことを証明します。

陽性コントロールが検出されなかったり、陰性コントロールで反応が出たりした場合は、その試験結果は無効となり、原因究明と再試験が必要となります。

再生医療等製品特有の試験法適合性試験(バリデーション)

再生医療等製品特有の試験法適合性試験(バリデーション)

再生医療等製品は、製品そのものが複雑な組成を持っていたり、細胞を含んでいたりするため、試験結果に影響を与える要因が多く存在します。正確な結果を得るために欠かせない「試験法適合性試験(バリデーション)」の重要ポイントを解説します。

製品由来の静菌・静真菌作用の確認と排除方法

再生医療等製品には、添加剤として抗生物質が含まれていたり、細胞自体が抗菌作用を持っていたりすることがあります。これらは「静菌作用」や「静真菌作用」と呼ばれ、汚染微生物の増殖を抑えてしまい、偽陰性(本当は汚染されているのに検出されない)の原因となります。

これを防ぐためには、以下の対策を講じてバリデーションを行います。

  • 洗浄: メンブランフィルター法において、洗浄液でフィルターを十分に洗浄し、抗菌物質を除去する
  • 中和剤の使用: 培地に中和剤(レシチンやポリソルベート80など)を添加し、抗菌作用を無効化する

実際に少量の菌を接種し、これらの処理によって菌が確実に発育することを確認します。

核酸増幅法における反応阻害物質の影響評価

NAT法を採用する場合、製品中に含まれる成分(ヘパリン、EDTA、高濃度のDNA、死細胞由来のデブリなど)がPCR反応を阻害することがあります。これを「反応阻害」と呼びます。

バリデーションでは、製品検体に既知量のマイコプラズマDNA(内部標準など)を添加し、それが正常に増幅されるかを確認します。もし阻害が見られる場合は、核酸抽出方法の改善や、検体の希釈などを検討し、阻害を受けない条件を見つけ出す必要があります。

検出限界(LOD)の検証と規格設定

検出限界(LOD: Limit of Detection)の検証は、その試験法がどれくらい微量な汚染まで見つけられるかを定義するものです。再生医療分野では、患者様への安全性を最大限に考慮し、極めて低いレベルの汚染も検出できることが求められます。

具体的には、希釈系列を作成した標準菌株を用いて試験を行い、95%以上の確率で検出できる最小の菌数を特定します。このLODが、規制当局が求める基準(例:NAT法であれば10 CFU/mL相当など)を満たしていることをデータとして示さなければなりません。

ベクター製品や加工細胞における特異的な干渉要因の検討

ウイルスベクター製品や、遺伝子導入を行った加工細胞の場合、それらの成分が試験系に特異的な干渉を起こす可能性があります。例えば、ベクター由来の核酸配列がプライマーと非特異的に反応してしまったり、細胞から放出される因子が指示細胞の状態を変化させてしまったりするケースです。

一般的な医薬品にはないこれらの「バイオ製品特有の干渉」を洗い出し、影響がないこと、あるいは影響を回避できる手順であることを事前に検証しておくことが、スムーズな承認申請や査察対応につながります。

製造工程におけるサンプリング計画と試験タイミング

製造工程におけるサンプリング計画と試験タイミング

試験は「いつ」「どこから」「どれくらい」行うかが重要です。製造工程全体を見渡し、リスクに基づいた適切なサンプリング計画を立てることが、効率的かつ確実な品質管理につながります。

原材料(培地・添加因子)の受け入れ試験

品質管理の基本は「入口管理」です。製造に使用する培地、血清、成長因子などの原材料が汚染されていれば、最終製品の無菌性は保てません。

  • メーカー試験成績書の確認: 信頼できるサプライヤーを選定し、CoXt(試験成績書)で無菌性やマイコプラズマ否定を確認します。
  • 受け入れ試験: リスクが高い原材料や、重要工程に使用するものについては、自社でも受け入れ時に無菌試験やマイコプラズマ試験を実施することを推奨します。

特に生物由来原料はロットごとのバラつきや汚染リスクがあるため、厳重なチェックが必要です。

中間製品・製造工程内でのバイオバーデン管理

最終製品だけでなく、製造工程の途中段階(中間製品)での微生物管理も重要です。これを「バイオバーデン管理」といいます。特に、培養期間が長期にわたる場合や、オープン操作が含まれる工程の直後などは、汚染リスクが高まります。

あらかじめ定めた工程のポイントでサンプリングを行い、無菌試験(または簡易的な微生物限度試験)やマイコプラズマ試験を実施することで、万が一汚染が発生した場合でも、早期に発見し、被害を最小限に抑えることができます。また、汚染原因の特定も容易になります。

最終製品の出荷判定試験としての実施

最終製品の出荷判定試験は、製品が患者様に投与される直前の品質を保証する最も重要な試験です。この段階での試験結果が「適合」でなければ、製品を出荷することはできません。

製品の有効期間に応じて、以下の戦略を立てます。

  • 凍結保存製品: 全項目の試験結果が出てから出荷する。
  • 生鮮製品(有効期間が短い): 迅速法を用いて出荷前に結果を確認するか、あるいは「中間製品での結果」と「最終製品の迅速試験(グラム染色やエンドトキシン試験など)」を組み合わせて暫定的に出荷し、後日確定結果を確認する(条件付き出荷)などの運用手順を定めます。

検体量の設定とサンプリング時の無菌操作手順

サンプリングする検体量は、試験の感度を左右する重要な要素です。日本薬局方では、バッチサイズ(製造本数)や容器の容量に応じたサンプリング数や検体量が規定されています。

しかし、再生医療等製品は1ロットが非常に少量である場合が多く、薬局方の規定通りの量を採取すると製品がなくなってしまうこともあります。そのような場合は、リスク評価に基づき、科学的に妥当な「可能な限りの最大量」を設定します。また、サンプリング時は製造時と同様の無菌操作を徹底し、サンプリング自体による汚染(偽陽性)を絶対に防ぐ必要があります。

迅速法(RMM)導入時の規制要件と注意点

迅速法(RMM)導入時の規制要件と注意点

迅速法(RMM: Rapid Microbiological Methods)は再生医療の現場で強く求められていますが、導入には規制当局への説明と承認が必要です。ここでは、導入を成功させるための規制対応のポイントを解説します。

従来法(公定法)との同等性評価データの取得

迅速法を公定法の代替として使用するためには、新しい方法が従来法と比較して「同等以上」の性能を持っていることをデータで示す必要があります。これを「同等性評価」または「非劣性試験」と呼びます。

具体的には、標準菌株や環境分離菌を用いて、両方の方法で並行して試験を行い、検出感度、特異性、精度などを比較します。このデータは承認申請資料の重要な一部となるため、統計学的な手法も用いて客観的に証明することが求められます。単に「便利だから」という理由だけでは認められません。

PMDA(医薬品医療機器総合機構)への相談と承認申請対応

新しい試験法を導入する際は、開発の早い段階からPMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)に相談することをお勧めします。特に「RS戦略相談(再生医療等製品戦略相談)」などを活用し、試験法の妥当性やバリデーション計画について事前に合意形成を図っておくことが、スムーズな審査通過の鍵となります。

自己判断で進めてしまい、申請直前になって「データが不十分」と指摘されると、追加試験に多大な時間とコストがかかってしまいます。規制当局をパートナーと考え、綿密なコミュニケーションをとることが成功への近道です。

自動化機器(BacT/ALERT等)導入時の適格性評価(IQ/OQ/PQ)

自動培養装置(BacT/ALERTなど)やNAT測定機器を導入する場合は、その機器が正しく設置され、意図通りに動作することを保証する「適格性評価」が必要です。

  • IQ (据付時適格性評価): 機器が仕様通りに設置され、接続されているか。
  • OQ (運転時適格性評価): 機器が設定された範囲で作動するか。
  • PQ (性能適格性評価): 実際の使用条件下で、期待される性能を発揮し続けるか。

これらの評価を実施し、文書化して初めて、その機器をGMP/GCTP環境下で使用することが可能になります。機器メーカーのサポートも活用しながら、確実に実施しましょう。

まとめ

まとめ

無菌試験とマイコプラズマ試験は、再生医療等製品の安全性を支える根幹です。日本薬局方やGCTP省令といった規制要件を正しく理解し、製品特性に合わせた適切な試験法を選択・実施することが、製造販売業者の責務となります。

特に、有効期間の短い製品においては、NAT法などの迅速法の導入や、それに伴うバリデーションが重要な鍵を握ります。自社のリソースだけで対応が難しい場合は、専門の外部機関を活用するのも一つの賢明な選択肢です。常に「患者様の安全」を最優先に考え、科学的根拠に基づいた強固な品質管理体制を築き上げていきましょう。

無菌試験・マイコプラズマ試験の実施法についてよくある質問

無菌試験・マイコプラズマ試験の実施法についてよくある質問

試験の実施において、現場の皆様からよく寄せられる疑問にお答えします。

無菌試験とマイコプラズマ試験は自社実施と外部委託のどちらが良いですか?

どちらにもメリットがあります。自社実施は、結果を即座に把握でき、製造工程へのフィードバックが早い点が利点です。一方、外部委託は、高度な設備や専門知識を持つスタッフを自社で抱える必要がなく、コストやリソースを削減できる点がメリットです。

初期投資が重いNAT法や、特殊な設備が必要な試験は外部委託し、日常的な環境モニタリングや簡易試験は自社で行うなど、ハイブリッドな運用をされている企業様も多くいらっしゃいます。自社の生産規模や体制に合わせて検討してみてください。

再生医療等製品で迅速法を採用する場合のバリデーション期間はどれくらいですか?

製品の特性や導入する試験法によって異なりますが、計画策定から予備試験、本試験、データ解析、報告書作成までを含めると、一般的には数ヶ月〜半年程度を見込んでおくのが無難です。

特に、公定法との同等性評価を行う場合、複数の菌株を用いた試験を繰り返す必要があるため、相応の時間がかかります。PMDAへの相談期間も含め、製品開発のスケジュールに余裕を持って組み込んでおくことが重要です。

検体が少量しか採取できない場合の試験対応はどうすれば良いですか?

再生医療等製品では、検体量が限られるケースが多々あります。その場合、日本薬局方の規定量に固執せず、製品の総量に対する比率や、リスクベースのアプローチで「採取可能な最大量」を設定し、その妥当性を説明できるようにしておくことが大切です。

例えば、全量検査破壊試験となる場合でも、安全性担保のために必要な最小限の量を科学的に算出し、規制当局と合意形成を図ることで対応可能な場合があります。